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企業と地域の文化財

皆さん、こんばんは。

依頼を受け、新聞に寄稿させて頂きました。地元企業による地域の文化財を守るための活動が波及的に広がることを願っています。



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『神奈川新聞』 2015(平成27)年4月24日付



 近年イタリアでは、企業の寄付で文化財の保全を行う傾向が強くみられる。2010年、革製品ブランド「トッズ」はローマの遺跡「コロッセオ」の修復費用として2500万ユーロ(約32億円)を負担すると表明した。これに続き、2013年にはファッションブランド「フェンディ」が「トレビの泉」の修復費用として218万ユーロ(約2億8000万円)を、さらに2014年には宝飾品ブランド「ブルガリ」も「スペイン広場」の階段の修復費用として150万ユーロ(約1億9000万円)を寄付することを表明した。このような傾向は、イタリア政府や自治体が財政難のため文化財を保全するための充分な財源を確保できないという事情もあるようだ。

 私は、今後日本においても、地域の文化財を守るため地元企業の協力が益々必要になると考えている。文化財保護行政において「文化財」として保護される対象が近・現代のものにまで拡大される一方で、少子高齢化や人口減による税収の減少も危惧されており、行政の財源だけでは地域の文化財を守ることがより難しくなると想定されるからだ。

 ここで弊社の取り組みについて紹介したい。弊社は50年程前から横浜市中区で洋菓子店「モンテローザ」を営み、「横浜三塔物語 スティックケーキ」や「勝サブレ」など、歴史にちなんだ観光土産菓子を製造、販売している。三代目の私は、ガス事業発祥の地にある横浜市立本町小学校出身で、幼い頃より横浜の歴史・文化を誇りに感じていた。弊社では、社会貢献活動として、地域の文化財を守る活動を積極的に行っているが、その代表的なものが、明治期に横浜で製作され、今では「幻のやきもの」と評される眞葛焼を常設展示する「宮川香山 眞葛ミュージアム」の運営である。また、遺構の保存活動も行っている。2013年7月、横浜市立本町小学校で地中から明治後期の横浜市瓦斯局時代に築造されたと考えられるガスタンクの煉瓦基礎遺構が出土した。横浜市教育委員会は、この近代の地下遺構を「埋蔵文化財」として扱い調査を行ったが、校舎の増築のため、残念ながら遺構は解体されることになった。わが社では、何とかこの貴重な遺構を残すことができないかと、遺構の一部を横浜都市発展記念館の中庭に移設し展示・保存することを提案し、そのための費用を全額寄付することを申し入れた。結果、同年12月に弊社からの寄付で遺構の一部の移設保存が実現したのである。(詳細は→ http://hamablo.exblog.jp/21547627/ )

 さらに、2014年に横浜市歴史博物館で開催された「佐久間象山・書道展」への協賛など、博物館・美術館の主催するイベントへの協力や、公益社団法人横浜歴史資産調査会への寄付も継続して行っている。
 
 弊社がこのような活動を行うようになったきっかけは、2008年に「横浜開港資料館」が渡辺戊申株式会社の寄付で“横浜を写したもっとも古い写真”を購入したというニュースに触れ、深い感銘と刺激を受けたからである。このような流れが、波及的に地域の企業に広がれば理想だと思う。
 
 しかし、二つの問題もある。企業は株主等のステークホルダー(利害関係者)の理解を得る必要があるという点と、遺跡の修復などを1社の企業の寄付だけで行うというのは「文化財の商業利用だ」との批判を招く可能性があるという点である。地域の文化財は、行政や住民のみならず、地域の企業も積極的に関わり、地域全体で守り伝えていくべきではないだろうか。地域の文化財を守るため、多くの企業が参画できる仕組みづくりが必要とされている。


株式会社三陽物産 代表取締役社長
宮川香山 眞葛ミュージアム 館長
山本 博士






今日もブログを見て頂き、有難うございました。
眞葛 博士


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